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朝鮮日報8/15☆【コラム】「kimuchi」発言チョン・ウソンに対する弁護(上)(下)



*朝鮮日報   2009/08/15 11:41:14
【コラム】「kimuchi」発言チョン・ウソンに対する弁護(上)


  自宅近くに「カルビ家」という炭火焼肉店がある。「カルビ」は「ばら肉」という意味の韓国語に由来する単語だが、この店のメニューを見て開いた口がふさがらなかった。
 それは「ビビンバ」という表記だった。本来の韓国語をカタカナで表記すれば「ピビンパプ」(プははっきり発音しない)となるが、最後の「プ」さえも抜け落ちている。「クッパ」(韓国語では「クッパプ」)もそうだ。「ネギムンチュ」の「ネギ」は分かったが、「ムンチュ」は何かと思いきや、韓国語で「ムチム」(和え物)を指すものだった。「カットゥギ」(大根のキムチ)は「カクテキ」になっている。「チャンジャ」という不思議なメニューもあったが、これは韓国でいう「チャンナンジョッ」の発音が難しいため、材料(タラの内臓)を表わす韓国語を日本風に表記したものだった。

 韓国では「すし」を「チョバプ」(酢飯の意)という。日本でも「ビビンパプ」を「混ぜご飯」のような日本語に置き換えればいいものを、あえて韓国語のまま、日本風の表記や発音をしている。これは他国の言語に対する侮辱ではないか。そう思うと怒りさえもこみ上げてくる。

 日本人はいつからこのようなことをしているのだろうか。親交がある在日韓国人ジャーナリストのキム・ヒャンチョン氏(『クーリエ・ジャポン』誌編集者)に聞いてみたところ、意外な答えが返ってきた。

 「子どものころ、両親が焼肉店を経営していた。われわれは“ビビンパプ”と呼んでいたが、メニューには“ビビンバ”と書いていた。日本人のお客さんは“パプ”という発音が苦手なため、日本人に対する配慮だったと思う。“クッパ”や“キムチ”(韓国語では『ム』をはっきり発音しない)も同じだ」とキムさんは話した。また、「ムンチュ」については「母は“ムチム”を“ムンチ”と呼んでいた。慶尚道の方言だと思う。これが変化したのではないか」と説明した。「カクテキ」もまた、韓国語の方言(「カッテギ」)に由来するのではないか、という説明だった。

 かつて、焼肉屋はほとんど在日韓国人が経営していた。このため、「ビビンバ」や「クッパ」は彼らが商売の過程で広めていったものと考えられる。「いくら難しくても、正しく表記すべきではないか」と問い詰めたいところだが、飲食店は語学学校ではないため無駄だ。

東京=鮮于鉦(ソンウ・ジョン)特派員

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版


*朝鮮日報  2009/08/15 11:41:44
【コラム】「kimuchi」発言チョン・ウソンに対する弁護(下)
 

 だが結果的には、在日韓国人のやり方が正しかった。焼肉店が3世・4世へと引き継がれ、やがて日本の資本も参入するようになり、日本における韓国料理の味が違った方向へと変化していったからだ。
 それでも「ビビンバ」は原形を保っているほうだ。「クッパ」は韓国の中華料理店にある「ケランタン」(卵スープ)に似ており、韓国の冷麺をルーツとする盛岡冷麺は、韓国の大衆食堂にある「チョルミョン」にスープを加えたようなものだ。「ユッケジャン」は妙に甘いため食べられなかったが、それは韓国のユッケジャン(牛肉と野菜の激辛スープ)とは違うということに遅まきながら気が付いた。

 しかし、こうしたメニューも、韓国のキムチ(kimchi)と日本のキムチ(kimuchi)のような本質的な違いがあるわけではない。「kimuchi」は、日本人たちが徹底的ににおいを消そうとしたため、ただの「辛口の浅漬け」に変質してしまった。発酵食品である「kimchi」とは違い、「kimuchi」には乳酸菌が含まれていない。一種の清涼感が感じられる「kimchi」の酸味は乳酸菌が醸し出すものだが、「kimuchi」の舌にくっつくようなコクのある味は調味料によって作り出されたものだ。

 日本のキムチチゲ(キムチ鍋)もまた、韓国のそれとはまったく違う料理だ。「kimuchi」は発酵しておらず、単に漬け込んだだけなため、だしは出ない。そのため、日本のキムチチゲは「キムチ味」に加工されたスープを使っている。新鮮なキムチのだしを使った韓国のキムチチゲとは味も次元も違う。これを同じものと考えるのは、ヨーグルト風の炭酸飲料「ミルキス」を「ヨーグルト」だと言い張るようなものだ。

 先日、俳優のチョン・ウソンが日本のテレビ番組に出演し、「kimuchichige」と表記したフリップを見せたため、韓国で反省文まで書かされる羽目になった。なぜ韓国人が「kimchi」を「kimuchi」と書いたのか、と批判されたのだ。だが、共演した日本の女優が示した選択肢は、日本式に表記された「キムチチゲ」だった。このことについて執拗に問いただすのであれば、いっそのこと、チョン氏が日本の「kimuchi」を「kimchi」と言い続けたことを責めるべきではないだろうか。しかし現実は、単なるバラエティー番組での出来事であり、このように杓子定規な批判をすること自体が馬鹿馬鹿しいことだ。

 問題の番組を見た一視聴者として、全体的な感想を述べるとすれば、それは「韓国男児」チョン・ウソンは本当にかっこよかった、というものだ。俳優に対する評価は本来、そういうものであるべきだ。

東京=鮮于鉦(ソンウ・ジョン)特派員

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
by norikoiida | 2009-08-15 16:30 | 韓流スター
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